レイヴ大国 UK で毎年開催されるグラストンベリー・フェスティバルから派生した、ダンスミュージックに特化したグレード・フェスティバル。ジャンルはサイケトランス、テクノ、ブレイクス、ブレイクコアなど幅広くアンダーグランドなものを扱っており、毎年1万人以上収容するまでに成長。4度目を迎えた2007年、初日会場は始まって以来の大嵐に見舞われた。誰もがイベントの中止を納得していたが、午後になり天候は嘘の様に回復。太陽を喜ぶ人々と復活したサウンドシステム。まるであの伝説のフェス
Woodstock を見ているようだった。嵐が残して行った一面の泥の中、3日間に及ぶ今年1番の "クレイジー"
なフェスティバルが始まった。今回はメイン主催者の一人、ANS と、ステージを嵐から守った勇敢な裏方クルー ROB に舞台裏のドラマをイベント終了直後に語ってもらった。
A : ものすごく疲れたよ、でもとてもハッピーだ。最初、金曜日の朝11:30に自分の車の中で、このイベント自体が中止になると思っていた。これまでこの地域でこんなにも集中して雨がふった事は無かったからね。ステージは陥没するし、テントは流されるし、電源は入らなくなるし、すべてが最悪の展開だった。とてもショーを続行出来るような状態ではなかった。僕は車の中で、この惨状の後処理を考えながら、必死で涙をこらえてたんだ。実際に中止しなかった理由は、会場周辺の道路が完全に洪水状態になり帰る事さえ出来なかったからだ。地元の役所からは、我々主催者が責任をもって集まった観客の安全を保証するように言われ、イベント中止の許可が下りなかった。実際我々もこの大雨と寒さで観客の健康状態が心配だったし、ステージの下部組織は雨に流されみんなでそれを元の位置に押し戻す作業は大変だった。
A : メインの主催者は全部で4人「ニック(Nick Ladd)」「ルーク(Luke Piper)」「マーク(Mark Parsons)」と僕。ニックと僕は元々、南アフリカでサイケトランスのパーティーを5,6年やって来た。その後
UK に帰って "でかい合法パーティー" を主催しようと言う話になり帰国したんだ。ルークは元々「グラストンベリー・フェスティバル」で「グレード」と言うステージを長い間主催していて、ニックもまた、ルークやマークと共にこのグレード・ステージを手伝っていたんだ。そのつながりで、当初は3千、4千人規模のサイケトランスのイベントを企画した。
A : とりあえずこの先6週間は、現場の後片付けに費やす。その後約1月は、休みをとってリラックスする。2007年11月からは、2008年のイベントの運営をスタートするよ。フェスティバルを主催する上で、ライセンスに関する仕事が一番大変だね、去年は騒音問題と会場内での麻薬の出回りを警察から警告された、しかし観客は麻薬目当てで来ていないから、そういう事実はあり得ないよ。とにかくライセンスに関する書類だけで500ページくらいあって、それぞれの役所や政府に許可をもらうため、ものすごい労力を使うんだ。そのため制作の面で色々と見失う事もあるんだ。イベントは、今後もとりあえず今の規模を保っていたい。チケットは全部で16,000枚、アーティスト、スタッフ等を含め総動員数は約18,000人。フェスティバルとしては申し分無い大きさだし、会場の移動に時間がかかりすぎるほど大きすぎはしないからね。
R : まずフェスティバル開始前の木曜日は6時間、初日の金曜日は12時間働きっぱなしだった。最初、金曜日のあの大雨の後、僕たち全員が今年のフェスティバルは終わったと思った。しかし奇跡的に8:30PMには、オープンする事が出来たんだ。本当に信じられないよ、だって一時期ステージテント内は、6ft
(1ft=30.48cm) くらい浸水していたからね。木曜にセットした PA システムも金曜には危険だからすべて安全な場所へ保管し、それをまた金曜の8:30PMまでにセットし直したんだ。初日参加予定だったアーティストには電話で理由を説明し、会場には来ないよう伝えたけど、ほとんどの参加者はもうすでに会場へ向かっている途中でステージを再会せざるえなかった。土曜日のスケジュールはクレイジーだったね、7AMに仕事を開始して終わったのが4AM!
その後なんとか4時間仮眠を取って、今、君等と朝食を食べてるというわけさ。
- あなたのグレードでの肩書きは?また普段は何をやっているの?
R : 僕等はステージ・クルー。客のコントロールから、荷物の上げ下げまで全部やる。以前は「ローディー (Roadies)」と呼ばれていたみたいだけど、今回初めてこの呼び方は少し軽蔑した言い方だと聞いたよ。現在は正式に「バックライン・テクニシャン
(Backline Technicians)」と呼ばれているらしいね。実は僕も地元ブリストルで「DJ Chimpski」と言う名前で、ブレイクコアやラガジャングルの
DJ をしているんだ。でも今回ステージでプレイするアーティスト達と自分を比較したりはしないね。むしろ彼らのために働く事が楽しいんだよ。僕はブレイクコアが大好きで、自分がプレイ出来なくても、イベントをサポートする事にベストを尽くしているんだ。
- あの大雨ですべてが滅茶苦茶になったのをどうやって立て直したの?
R : 我々のオーバーキル・テントが敷地の1番低い場所にあったんだ。幸運な事にすべての電源ケーブルは濡れない場所にあったけど、いつ水に浸かってもおかしくない状況だった。それに発電機は特別な機械で、少しでも何か問題があるとすぐに緊急停止してしまうものなんだ。だから水をしみ込ませる為に15トンもの
"わら" を地面に敷き詰めたよ。観客の多くも手伝ってくれて、みんなが1つになりイベントを立て直してくれたのがすばらしかった。多くの客はオーバーキル・ステージ目当てで来ている様だからね。メインステージではないのに。だからなんとしてもやらなきゃ!と思った。その気持ちのお陰であの悪天候の中、作業が出来たんだと思うよ。
- バックステージでのチーム編成は?
R : オーバーキル・テントの制作チームはおよそ8人。サウンド専門家が2人に証明係が3人、それに現地でのサポートクルーがいるよ。でも全体で何人の人間が働いているかは分からないな。
- ステージ・テントを効率よく立てるには、どのような過程を要する?
R : 実際それぞれの専門シームに分かれて作業を分けて行う。最初、テントを組み立てるクルーが来て、その後ステージを作るクルーが来る、それが終わったら証明とサウンド両方いっぺんに作業をして色々と調節する、そしてやっとオーバーキルのクルーにテントが依託されすべてのチェックが行われる。ここまでをおよそ4時間で終わらせるんだけど、重い設備をあちこちに移動させる訳だから、きつい作業だよ。
- 騒音問題については、何か決まりはある?
R : 地元の役所からは出してもいい音量と、またその時間帯を制限されている。今回のイベントの場合は、昼間は音量を上げてもかまわないけど、夜にはステージ2つまでで、音量も少し下げないといけない。しかし普通ヘッドライン・アーティストは遅い時間にプレイするものだし、その頃には音量は約半分になっているから観客は不満だよね。これは役所から命じられている事で、僕らにはどうする事も出来ない。観客達が政府に騒音問題についての理解を訴えてくれるとありがたいんだけどね。イギリスでは普通、各地域でこういったフェスティバルが催されるのは1年に1度だけなのだから、もう少し理解をしてくれれば、こういう決まり事に反発する
"イリーガル (非公式)" パーティーも少なくなると思うんだけどな。