ビッグダダ

トリップホップの代名詞的存在である「コールド・カット (Cold Cut)」が率いる世界最大のインディペンデント・レーベル「ニンジャ・チューン (Ninja Tune)」は、世界中のヘッズ達のあこがれの存在である。そんなニンジャから、さらにヒップホップ寄りのサウンドを発信するセカンドレーベルが「Big Dada Recordings」だ。US 産とは一味違うプログレッシブなヒップホップを追求することで、多くのスターを輩出して来た。今回ビッグダダのレーベル・マネージャーである Jamie に、これまでのレーベルの経緯と世界のマーケットについて質問してみたい。

 

写真:Jamie

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インタビュー

- ビッグダダの歴史を教えて?


J: 最初は、1997年に Will Ashon というイギリス人によって設立されたんだ。彼はもともと UK ヒップホップ・ジャーナリストの第一人者で、多くの雑誌と仕事をして来た人物だった。中でもプログレッシブなヒップホップに対して強いビジョンを持っていて、当時若手アーティストで契約を夢見ていた「New Flesh」や「Roots Manuva」等と知り合った。彼は UK 最大のインディペンデント・レーベル「ニンジャ・チューン」に、ヒップホップのサブレーベルとしてビッグダダの話を持ちかけ、アーティスは、UK、アメリカ、フランスなど、世界中から彼が見つけ出すという事を提案した。ニンジャの社長である Peter Quicke 氏は、この話に興味を持ち、「Big Dada Recordings」が設立されたんだ。

- ビッグダダのニンジャ側との関係性は?


J: 僕らは非常に良い関係を保っているよ。ニンジャのボスであるピーターは、ビッグダダの社長ウィルにアーティスト選びを完全に任せている。ニンジャ側は僕らビッグダダを信頼してくれているから、細かい所までいちいちチェックはしてこないんだ。仕事上、キャスティングや予算、アーティストの解雇などは目を通すけれど、制作の上では関与してこないよ。

 

- ビッグダダでのジェイミーの主な仕事は?

 

J: 僕はレーベルマネージャーだよ。製作、流通、マーケティング、宣伝など、すべてを管理してる。さらに雑誌やネットでのキャンペーン、DJ やショップに新譜の提供、さらに各国のニンジャオフィスに連絡を取って、世界的な宣伝に力を入れたりしているね。

- ビッグダダでは、どんな音楽に力を入れている?

 

J: もともとは、90年代には無かったようなオリジナルで新しい、少し変わったアプローチをしているヒップホップだね。例えば、所属アーティストである「Roots Manuva」は、ダブを取り入れたヒップホップを作り、「New Flesh」は、エレクトリックでダークな要素、そして「Ty」はとてもソウルフルな方向でヒップホップを表現している。

 

- 2007年はビッグダダ10周年ですが、今年の予定は?

 

J: 現在 CD と DVD のコンピレーションを製作中だよ。マッシュアップ PV の DVD と、これまでのベスト CD のコンピ。それに今年は Diplo、Roots Manuva、Spank Rock、Wiley 等と沢山のイベントを企画してる。

僕らは UK アンダーグラウンドを盛り上げたいから、大規模イベントはやらないんだ。現在このシーンは低迷気味だから、良い刺激になってほしいね。

 

- 海外でのビッグダダの評価は?


J: ヨーロッパでは、主にフランスとドイツ、たまにオランダ等で大量に売れるね。まぁそのレコードにもよるだろうけどね。Diplo と Spank Rock は、アメリカで絶大な人気を獲得している。でも普通は、流行テイストの曲じゃないと、アメリカで高い売り上げを得るのは難しいんだけどね。日本は僕らにとって、とてもいい市場だよ。しかし中国やタイなど他のアジアは、あまり良くないね。あそこはブートレグやコピー版が出回りすぎて、オリジナル版はだれも買わないんだ。日本では「Beat Inc.」という会社が、ニンジャとビッグダダの日本市場での世話をしてくれていて、主に宣伝、流通、それにイベント主催などをやってくれるんだ。

映像:Spank Rock インタビュー

- 普段どれくらいのデモがオフィスに送られてくる?


J : 1週間におよそ20件くらいかな?その他に毎日大量のeメールが届いて、自分たちのマイスペースをチェックしろって言ってくるね。でも実はそっちの方が簡単で、CD-R も無駄にならなくて良いんだよ! あと、うちにデモを送ろうとしている人に忠告だけど、「CD の表面にスプレーで色々書かないで、コンピューターで聞けなくなるから!」

 

- 主にどんな音楽がデモで届く?

 

J: 時々ビッグダダのスタイルを調べずに、全然関係ない音楽を送ってくる人達がいるね。例えば1人でギター引いてバラードを歌ってるインディーバンドみたいなのが来たりね。でもほとんどが、古典的なヒップホップだったり、イギリス人が "ギャングスターラップ" をやってたりとかね。いろんなのが来るよ。

- 現在の UK 音楽シーンをどう思う?

 

J: 現在のインディペンデント・レーベルは、当時の勢いを落として来てるのを感じるね。今は、メジャーに所属しているアーティストの方が、真剣に取り組んでいるように見えるし、視聴者もメジャーの方が音楽面で優れていると思っているようだね。特に UK のブラック音楽シーンでは、多くのメジャーレーベルが突然ヒップホップに力を入れ直して、良いリリースが多くなって来たんだ。例えば「Lavel 679」や「Warner Records」など。だからこの流れで我々ビッグダダを含む、アンダーグラウンド・レーベルも再び活気付いてくると良いな。ちなみに僕は2006年、"Jamie T" のアルバム「Panic Prevention」が一番良かったと思うね。現在 UK にはロックの波が再び来ている。それに東ロンドン発祥の「グライム」シーンもいい感じだ。僕はこのグライムが今一番勢いの有るシーンだと思ってる。

民主化した MC に憧れる多くのキッズは、たとえそのリリックにスキルが無くても自分たちをアピールし、グライム・トラックは良いものに仕上がっている。その中でも飛び抜けているのは、やはり「Dizzee Rascal」「Wiley」「Kano」「Jammer」「Reco」等だろうね。とにかく今のロンドンのシーンは、非常に面白い時期だと思うよ。

 

- 最後に今後のビッグダダのプランは?

 

今は我々にとって変化の多い時期だね。というのも、ブラック音楽自体が低迷している。しかしながら Spank Rock など、ヒップホップ要素を残しつつ、さらに新しい事をやっている奴らと契約して行くし、芸術的で完成度の高いパッケージをより多くの人に買ってもらえるよう、最大の努力を勤めて行くつもりだ。これはずっと変わらない事だし、将来ビッグダダをもっと知ってもらう為に、ずっと続けて行くべき事なんだ。

Written by Selph

Translated by Irie

 

Big Dada : http://www.bigdada.com

Ninja Tune : http://www.ninjatune.net/home