スカタライツのメンバーは個人の作品も多く残しており、一人一人のアーティストの演奏レベルが極めて高いことから、ドン・ドラモンドのキラーチューン「Man in the street」などは、UK ヒットチャートに登場するほど勢いがあった。ジャマイカが生んだ最強のスーパースター・スカバンド ''スカタライツ'' 、これもコクソンがプロデュースした奇跡の一つである。
そんなルードボーイ達のカリスマ的存在だったのが、スカタライツのトロンボーン奏者である、ドン・ドラモンドだった。メンバー内で一番の人気を誇り、 天才肌だった彼の人生は短命に終わる。1965年1月1日、ガールフレンドでシンガーのマルガリータが謎の死を遂げ、彼は犯人として逮捕される。そして、精神患者の収容所に入れられ、それから4年後の1969年に収容所から出る事なく、彼も謎の死を遂げた。それはまるで、一斉を風靡した UK パンクバンド、セックス・ピストルズのシド・ヴィシャスのような生き様だ。しかしこの事件は、シドがチェルシーホテルでナンシーを殺害した事件より、10年以上も前の出来事である。これを1つのきっかけに、スカタライツは活動を停止する。スカタライツを名乗ってからの活動期間はたった1年だったが、その後も「ソウル・ブラザーズ」や「サウンド・ディメンション」と名前を変えて、多くのアーティストのバックバンドとして演奏を続けた。1980年代にはオリジナルメンバーで再結成され、今現在も活動を精力的に続けている。
コクソンの声 Studio One Story
ここまで、50年代後半から65年スカタライツ解散までの流れについて話してきた。ちなみに、ここに書かれている事が歴史の全てではない。プリンス・バスターやデリック・モーガンは、自分達がスカを始めたと語っているし、デューク・リードが率いるトレジャーアイル・レーベルの功績も、偉大であると間違いなく言える。しかし、当時を知るアーティストは他界し、真実を正確に知る事はとても困難だ。それ故、2002年に UK レーベル、ソウルジャズレコードがリリースしたDVD 「Studio One Story (スタジオ・ワン・ストーリー)」の4時間にも渡るコクソン・トッドのインタビューは、全レゲエファンにとって驚愕の内容となった。
この DVD では、当時の生き証人である、アグリー・フェイスで有名なキング・スティットを始め、ホレス・アンディ、アルトン・エリス、ケン・ブース、ローン・レンジャー、デニス・アルカポーンなどの多くのアーティストが当時について語っている。また、カウント・オジーのナイヤビンギ集団のドラミングや、アーネスト・ラングリンのギターシーンのような貴重なライブ映像も含まれている。その他、DVD に付属しているサントラが CD と LP から選べるし、レゲエ好きには必見のアイテムだ。これは、Studio1のレア音源をコンパイルしたレコードを再発しているソウルジャズレコードと、インタビューのリリースから2年後の2004年に他界したコクソンの集大成でもある。