もしもしレコード

Moshi Moshi Records は Hot Chip や James Yuill などを輩出したロンドンの小さなレーベル。Hot Chip や Hot Club De Paris などの成功によりこの10年でトップクラスのインディ・レーベルにまで成長した。音の幅は実に多様。Florence and the Machine, Bloc Party や Friendly Fires といった評価の高い、また新進気鋭のアーティストの限定7インチレコードを「シングルス・クラブ」からリリースしている実績がそれを証明しているが、レーベルの雰囲気やセンスは一貫して素晴らしく調和していることは否めまい。今回 UKアダプタは設立者の Michael McClatchey に話を伺うことができた。近々日本で所属アーティストを集めたイベントを催すことが希望というマイケル。興味のある方、協力していただける方はぜひお問い合わせください!

- Moshi Moshi の経歴と展望を教えてください。

 

M: Moshi Moshi はメジャーレーベルに勤務していた友達3人が、本業とは別に何とか自分たちの趣味に合う音楽を採り上げられないものかと1998年に始めたレーベル。商業的に利益が見込めなくて上司の理解は得られないけど、自分たちが信じている音楽を扱うことを目的としていた。最初の5年間は空き時間を見つけて活動する程度にとどまっていたけど、2003年にはフルタイムで稼動すると決めた。それから間もなく Bloc Party のシングルと、Hot Chip のアルバムのリリースで軌道にのりだした。

 

映像 : Hot Chip - Down With Prince

自分たちが本気でいいと信じているから、他の人々にもそのよさを納得させられるアーティストを扱う、という立ち上げた当初の根本的なビジョンは変わっていないよ。

 

- Moshi Moshi の典型的な消費者層とは?

 

M: 典型的な層というものがあてはまらない程ウチのアーティストはバラエティーに富んでいる、と言いたいところだけど、それはウソになると思う。とは言え、ブルックリンのイケてる14歳、それともボルトンの昔パンクな40歳、などにかかわらず彼らを結びつける特徴はとにかく真剣に音楽が好きというところがキーポイントだね。

 

- この10年でレーベルは非常に成長しました。始めた時と比べてシーンの変わったと思う点はありますか?

M: シーンは常に変化しているし、そこがいつもおもしろい。流行は2,3年ごとに移り変わるから。そこに本当の信念があるかどうか「トレンド」から見抜くことが我々の目的で、そうやって初めて変化に耐えうる本物かどうかがわかる。

 

- インターネットによりビジネスの仕方はどう変わったと思いますか?

 

M: 良きにつけ悪しきにつけ、インターネットは全てをすっかり変えた。ネットなしでは、我々の予算でこんなに世界中のファンに届くなんて想像だにできなかった。

 

映像 : Strawberry Cables - The Wave Pictures

7インチシングルに比べほんのわずかな費用で mp3 データが製作できるということは、あまり予算がない小さなレーベルに多いに役立っている。と同時にアーティストや小規模レーベルに及ぼす影響をよく理解することなく、欲しいものは何時でも何でも無料で手に入れられると思っているらしき音楽消費者層も現れてきている。でもどちらかと言えばインターネットはいいことだろうね。

 

- レコードからmp3データへ徐々に移行していますがどう対応していますか?他のレーベルとの競争力についていくための方策は?

 

映像 : Bless Beats & Janee feat. Double S - Sex In The City

M: mp3 への切り替えはさっきも言った通り、我々にとってはいいことだよ。でも7インチの見た目、感触と音が大好きだからこれからもレコードで出し続けたい。

 

- 限定7インチを発売する「シングルズ・クラブ」について聞かせてください。趣旨や選定過程などありますか?

 

M: そもそも7インチシングルをリリースするつもりで Moshi Moshi を立ち上げた。でもレーベルが大きくなるにつれて限定シングルから遠ざかってしまい、その後どれだけその良さを見過ごしていたかと気づいてシングルズ・クラブを始めたというわけ。有望な新進アーティストの限定単発シングルをリリースするということはとてもエキサイティングで新鮮で瞬間的で、しかも Florence and the Machine や Friendly Fires といった、これがなければ関わらなかったであろう素晴らしいアーティストと協力する機会も得た。シリーズに連続性を持たせるため守っている、製造は1000枚のみと、バンドはアートワークに1色しか使えない、という2つのルールがある。

- 長期契約のアーティストについても聞かせてください。

 

M: Tilly And The Wall, Au Revoir Simone, Slow Club, Still Flyin', The Very Best, The Wave Pictures, Thecocknbullkid, James Yuill, The Mae Shi など結構たくさんいるけど、僕は音楽を説明するのが下手だとして知られているくらいだから、アーティスト自身に語らせたほうがいいかと。詳しく知りたかったらサイトを見てほしい。どれもみんな一見の価値あり、とだけ言っておくよ。

 

映像 : Still Flyin' - The Hott Chord Is Struck

- 最近では誰と契約しましたか?

 

M: 今年はたくさんの素晴らしいアーティストと仕事した。The Drums, Kindness, Samuel & The Dragon and The Very Best といった面々は僕が心底誇らしく思っているバンドだよ。来年は僕が確信しているアーティストについてみんなもっといろいろと耳にするようになるだろう。

 

- デザインの面でも、独特のスタイルがあると見受けられます。ジャケットのデザインはどうしているのですか?

 

映像 : Slow Club - Trophy Room

M: それは単なる偶然。所属アーティスト自身にデザインも任せるよう勧めていて、皆自分たちでやるし、なかなかよいものを創る。僕としてはアーティストが彼ら自身の見た目の独自性を持つことが重要だと思っている。

 

- レーベル名から、日本とつながりがあるのかと思っていました(なにせ "もしもし" ですから)が、そうではないようですね?日本のレーベルや代理店などからリリースしていますか?日本市場とはどのように?

 

映像 : Kindness - Gee Up

 

M: 日本でもライセンス契約で何枚かアルバムをリリースしたけど、希望していたほどには至っていない。うちのバンドをまとめて日本に連れて行ってパーティーをやりたいと思っているので、もし読者の中で興味がある、協力してくれる方がいたらぜひとも連絡を!

 

myspace: moshimoshirecords

 

Written by Chika Aoki