DJ Krush

日本、ヨーロッパ、アメリカを中心にプロデューサー、リミキサー、DJ として国際的な活動を展開するほか、映画、ドラマ、CM の音楽制作、ジャンルを越えたアーティストとのライヴ・セッションなど、幅広い活躍を見せる日本を代表するアーティスト。ソロ作品はいずれも国内外の様々なチャートの上位にランク・インし、6thアルバム『漸 -ZEN-』は、"インディーズのグラミー賞" といわれるアメリカの AFIM アワードにおいて特に芸術性の高い作品に贈られる "ベスト エレクトロニカアルバム 2001" 最優秀賞を獲得するなど世界中の注目を集めている。近年では自身による初のセルフリミックスベストアルバム「STEPPING STONES」、これまでの12年間の足跡を記録したドキュメンタリーDVD BOX 「吹毛常磨」をリリース。

 

サイト:http://www.sus81.com/djkrush

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インタビュー

- イギリスとの関係性について?

 

K : 最初は90年代アメリカのヒップホップ映画「Wild Style」に影響されて、DJ をやっていたんだけど、結局一生懸命やればやるほど、真面目にやればやるほど日本じゃ駄目だという事に気がついた。当時 MURO なんかとやってる頃ね。でもその時は、本場アメリカに自分のヒップホップを持っていくほど自信もなかったし、個性もなかったと思うし、アメリカにはまだ行けないなと思った。そこで遠回りになるけど、当時のヨーロッパは結構間口が広くて、色々な物が生まれていたから、ヨーロッパ経由でアメリカに渡り、日本に戻ってくるという ”三角形” を自分の中に描いてた。それで最初に扉を開いてくれたのがイギリスのロンドンだった。「Straight No Chaser」を初め、「Mo'Wax」のクルーとかね。当時僕はデモ・テープをいっぱい作っていて、何十曲も入っている DJ ミックスを送ったら、いきなりイギリスの Straight No Chaser のチャートに入っちゃた。結局最初の切っ掛けを作ってくれたのがロンドンの人たちだった。そこから色々と広まっていったからね。だから僕の DJ の歴史の中では外せない大事な場所かな。第一歩ですよ!

 

- 当時のイギリス人の反応は?

 

K : やっぱりストリクトリーだったと思うんですよ。「KEMURI」とか出した頃だったと思うんだけど、最初は日本人の DJ だから珍しがっているだけだと思った。

ロンドンで最初にクラブプレイした時も、KEMURI をかけると白人のお客が首から数珠を下げて俺に向かって拝んでるんだよね。それを見て、日本人が珍しいだけでそのうち飽きられるんだろうなと思ったら、ちゃんとイギリスの人達は音を聴いていてくれた。流行とかそういう部分ではなく、肝心な音を聞いて「この日本人おもしれぇ!」て感じてくれていた。それが凄く良かったし、正解だったなと思ったね。イギリスにはロックもあり、音楽の歴史が長いからね。だから聴いてくれる人達の耳も日本人とは違うのかなと当時は考えましたよ。やっぱりイギリスは音楽に対してはっきりしてるし、楽しみ方を知ってるよね。当時の日本人は誰かが旗を挙げないと誰も自分から挙げないというか、人が "10センチ!" と言うと "そうだよね10センチだよね" と言う。自分から "10センチ!" とは言えない人が多かったかな。イギリスにはでっかい音楽フェスティバルが昔からあるしね、日本とは歴史が違うんじゃないかな。

 

- スタジオでの音楽制作と、クラブでのライブパフォーマンスについて?

 

K : 何年か前と今とでは少し現状が変わって、以前は DJ の時に人の曲をかける中で自分の世界を創っていくスタイルだったんだけど、それだと何処か消化不慮を感じていた。完全にアルバム1枚を自分で作る時みたいに DJ のセットも全部 DJ Krush の音だけで世界感を創れたらとずっと思っていたんだけど、最新それが少しずつ出来るようになってきた。だから制作と DJ は両方とも大事だよね。昔は全然違うものだったけど、最近はもっと近い物になってきたね。

- PC の導入について?

 

プロダクションの方では「深層」を含め、結構使っていたんだけど、DJ の時は PC ではなくてやっぱりアナルグ・レコードが好きだったし、それでずっとやっていた。だけどオーストラリア・ツアーをやった時にアナログをいっぱい持っていったら、飛行機に乗る時に重量オーバーで往復何十万かかる事になった。それは凄く "しんどい" し、ツアー中に盗難に遭ったりと色々重なって、いい機会だから "スクラッチ・ライブ" に乗り換えようと思いましたね。それでせっかく PC にしたんだから、今までやりたかった事、未発表の曲やオリジナルの曲をレコード感覚でかけ、全部 Krush 印のライブをやろうと思った。もう本当に自分の好きな事、自分だけの曲をかけられるようになった。以前未発表の曲は CD でかけるしかなかったからね。そういう色んな切っ掛けがあって変えちゃいましたね。

- DJ ミキサー Vestax PMC 20-SL について?

 

K : 色々 DJ ミキサーは出てるんだけど、結局一番覚えのいい時、若い頃にあれを散々使って体に馴染んでるから、ミキサーを変えてそれ以上の事が出来れば他のミキサーでも全然いいと思うんですけど、多分出来ない。色々使ってみたけど、出来ないんですよね。サンプラーのパッドの感じも、ディレイの感じもやっぱりあれじゃないと駄目だね。

 

- 日本のこれからのアーティストについて?

 

K : ずっと僕もやって来て、日本人も海外にどんどん出て行ってほしいと思う。俺一人じゃないしさ。才能あるやつは日本の中にもいっぱいいて、ただ切っ掛けが無かったりするだけだからね。今は日本のスポーツ選手も色んな国でがんばってるよね。だから日本の中だけじゃなく、みんな地球規模でもっと考えた方がいいんじゃないかな。せっかく好きな音楽やってるなら、色んな国の人に聴いてもらいたいじゃない。そこでの努力は惜しまない方がいいし、苦労して当たり前だからね。その先が問題だから。ある程度のしんどい思いはみんなしてるから、そこから先が勝負であってね。僕だってまだまだ "こうだ!" て答えは見つけてないし、毎回悩む事はあるしね。ある程度名前が知れたとはいえ、そこで止まる訳には行かないから。色んな事言われる時もあるし、でも常に前向いて行かなきゃいけない。そこでは僕もまだ戦っている訳であって、みんな同じだよ。

- UK アーティストについて?

 

K : DJ Vadim とかは昔からリミックスを手がけたりしてますね。日本ではたまに Roni Size や Goldie と一緒にやったり、ターンテーブリストの Scratch Perverts や Tatsuki 等とも仕事したりしてます。

 

- DVD 映像のリリースについて?

 

K : 前回のアルバム "Stepping Stones" で昔の曲をリミックスしたんだけど、そういえば映像の方も10年くらい撮り溜めていたので相当な数の映像があるなという話になり、その流れで実現したね。凄く編集が大変だったみたいだよ。テープの本数がめちゃくちゃあったから、どれを使うか見るだけで1週間くらいかかったらしい。「Mo'Wax」の頃も含めて数10年分だよ。DVD に入ってない分でも "お宝映像" がいっぱいあると思うよ。昔の「Krush Posse」の映像とかも出しちゃえばいいのにね!

 

写真:DJ Krush DVD「鼓道 Ko-no-Michi」

DVDボックス『吸毛常磨』に収録/日本と北米のみで発売中 > 詳細はサイトへ

 

Written by Irie