人々に愛され続けるサウンド

現在 UK ヒップホップと言えば、そのほとんどがシンセサイザーを多用して、その上に高速のラップをのせるいわゆる "Grime (グライム)" と呼ばれるスタイルが主流で、スカイTV やパイレートラジオなどで多くのローカルキッズがそのスキルをアピールしている。そんなハードでダークな現代シーンの中で、未だ90年代当時のあの洗練されたスタイルを求め続けるオーディアンスも数多い。そんな彼らから絶大な人気を集めるのが、72 Records だ。当時から UK のヒップホップシーンを支えて来たレーベルオーナー、ヒューさんに 72 レーベルについて話を聞いてみた。

インタビュー

- 72レコードを始めたきっかけは?


H: レーベルは2003年にスタートしたんだ。その当時僕らは曲制作に打ち込んでいて、既に完成しているトラックが沢山あった。Biz Markie & Mr.Complex の "Glue" もその1曲で、リリース出来る所が必要だったんだ。


- レーベルのスタイルを教えてください。また立ち上げに至った直接的な影響はありますか?


H: 僕らのスタイルは純粋にヒップホップだね。人によっては僕らの事を "レフトフィールド" て種類分けしたりするけど、それは彼らが現在のトレンド ヒップホップに慣れてしまっているせいだと思う。

レーベルを運営する上では、US レーベルの Stones Throw Records (ストーンスロウ レコード) がやっている事は本当にリスペクトしてる。それに立ち上げ当時の Rawkus Records (ロウカス レコード) もすごく好きだったな、最近の彼らはあまり良くないけどね。それに 90's 中盤 (いわゆるミッドスクール) 当時の US ヒップホップ レーベルの立ち上げ方は本当に影響が大きくて、72レコードもこのスタイルを追っていたよ。

 

- 現在のレーベルの方向性は?


H: 今はプロダクションの質の高さのおかげで、僕らの知名度は上がっているよ。例えばカバーアート等をこだわって作ったり、トラックのマスタリングやミックスダウンにも UK で1番良いエンジニアを使ったりね。

USA でプレスしたりもするよ、向こうは良い工場が沢山あるからね。ただ最近では誰でも簡単にレコードを作れるようになったから、中途半端な音質の状態でレコードをリリースする他レーベルが多くなった。それに比べて僕らは1つ1つ、しっかりと作り込むからその分リリースまでの時間が長くなるんだ。でもこれまで自分たちがリリースして来たすべての作品に誇りを持ってる。それにアーティスト達も他のリリースに比べて僕らのレコードは全体の完成度が高いから、自信が持てるみたいだよ。

 

72 Records Website :

http://www.72records.com/

- レコードのカバーアートには、主にどんなアーティストを使いますか?


H: アムステルダムに "Rockwell (ロックウェル)" と言う洋服レーベルがあって、そこを経営している Parra (ピラー) と言うデザイナーによく頼んでいる。彼のスタイルはとてもフレッシュで、今までに無いような作品なんだ。他にも Cam Kennedy (カム・ケネディ) というアーティストも好きだね。彼はもともと "2000 AD (Judge Dredd Comic)" や "スターウォーズ" と言ったコミックを描いていた漫画家で、“Beyond There feat. Arcee, Yungun & Jehst (ビヨンド ゼアー)" のレコードカバー用に3匹の象さんを描いてくれたんだ。

 

Rockwell : http://shop.rockwellclothing.com

Cam Kennedy : http://www.camkennedy.com

- ミュージシャンとはどのように知り合うんですか?


H: 最初はセントラル ロンドンにあったレコード屋 "Mr BONGO (ミスターボンゴ)" (当時ロンドンで1番有名だったヒップホップ専門店) で働いていたから、ミュージシャンとは自然に知り会って行ったね。店では常にラジオやレコードで良い音楽を聞いていたから、気に入ったアーティストを見つけたらすぐにコンタクトをとる様にしていた。上手く行く時もあれば、ダメな時もあったけどね。そうそう、Scratch Perverts の DJ Tony Vegas (トニー べガス) もその当時一緒に働いていたんだよ。

- これまでどんなミュージシャンと仕事をしてきた?

 

H: Beyond There (ビヨンド ゼアー), Mr. Complex (ミスター コンプレックス), Binkis & L*Roneous (ビンキス & エル ロネウス) がメイン。その他に Yungun と Jehst (ヤングガン、ジェスト) が最近作ったクルー "World Service (ワールド サービス)" とも仕事をしているよ。これからリリース LP には、Biz Markie (ビズ マーキー), El-Fudge (エル-フォッジ), Rodney P (ロドニー ピー), Kashmere (カシミア), Mr.Complex (ミスター・コンプレックス), Pop Workshop (ポップ・ワークショップ), Tumi (ツミ), L*Roneous (エル・ロネオス) と蒼々たるメンツが参加する予定だ。

 

Myspace : http://www.myspace.com/72records

- 現在の UK の音楽シーンはどう思いますか?


H: UK シーンは世界でも巨大だとおもうよ。例えばインディーロックやヒップホップ、ダンスミュージック等、どのジャンルをとってもね。常に新しい事が始まって、新しいトレンドを生み、広まる。最も活気に満ちたシーンと言えるかもしれない。しかしながら問題は、僕らイギリスに住む人間がお互いをサポートしきれてないという事なんだ。実際僕らレーベルは、そのほとんどが外国からのサポートで成り立っている。例えばアルバムをリリースして UK で1000枚売るのが目標だとする。でも同じ物がヨーロッパでは、2500-4000枚くらいは普通に売れるんだ。最終的には UK は消費者よりもクリエイターなんだろうね。

- 将来の UK のホップホップ シーンに何を期待しますか?


H: 今の UK ヒップホップ シーンは、少し下がっているのを感じるね。しかしながら UK シーンというのは、半年ごとに変わって行くものなんだ。それにコアなファンは常にいるし、そうでない人達もまたすぐに帰ってくるよ。だから僕らはレーベルに、良い "UK" のヒップホップという先入観を消して、純粋に良い "ヒップホップ" のレコードとして売っていきたいんだ。

 

Written by Selph

Translated by Irie