LONDON FASHION WEEK

ロンドンファッションウィークとは、年2回、9月に来シーズンの春夏、2月に秋冬が発表されるロンドンにおけるファッションの一大イベントである。ショー形式で最新作を発表するコレクションから、ブース形式で商品が並べられる展示会までロンドンの至る会場で開催される。ショーに関しては、公式スケジュールとオフスケジュールといったカテゴリーがあり、毎日10から20のブランドが、場所や時間、演出を変えて創意工夫を凝らした新たな世界観を打ち出す。この時期は、全世界からバイヤー、プレス関係者がこぞって集まる為、人気ブランドはチケットの入手も困難である。今回、UKAdapta では幸運にもチケットを手に入れることが出来たショーの中から、2007-2008秋冬おすすめコレクションを紹介しよう!

 

Website : http://www.londonfashionweek.co.uk/

emma cook

リズミカルな音楽と、無造作に並べられた淡い色調のブロック。元気いっぱい、時にいたずらに画面を飛び跳ねる可愛いモデル。見ているだけで楽しくなるようなフィルム形式といった新たな試みで観客を魅了したのは 『エマ・クック』 である。毎シーズン、フェミニンで素晴らしいキャットウォークショーを行っている彼女が、なぜ今回この形式を選んだのか?実は、準備期間中に新たな命を授かり、最近女の子が生まれママになったという幸せなニュースが届けられた。フェザーや、ファー、花のコサージュ等、ぬくもり溢れる柔らかな素材をあしらい、 Aラインドレスのさりげないボリューム感とペンシルスカートの、しなやかに体を包み込むような女性らしいシルエットを演出。一見ペイズリー柄と見間違いそうなリーフプリントも、ノスタルジックで温かみのある印象。フェミニンなドレスには定評のある彼女。今シーズンも、期待通りしっかりとワードローブに加わるリアルクローズを展開してくれた。

 

Peter Jensen

TOPSHOP の会場で開催された 『ピーター・イエンセン』 のコレクションは、 「クリスティン (Christine)」 という16世紀に実在したデンマーク生まれのミラノ公爵婦人からインスパイアされた 。ルネサンス時代にタイムスリップしたかのような、ロングドレスをしなやかにまとい、上品にまとめられたヘアに、透き通るような白い肌、朱赤のルージュが栄える。いつも斬新なテーマを掲げ、奇才ぶりを発揮し続ける彼だが、遊び心とトレンドを織り交ぜ、実際に着用に適したアイテムを展開するのも人気の秘訣。シルエットのゆったりとした着心地の良いコートやケープ、空気感のあるたっぷりとした袖、そうかと思えば、ショートジャケットにタイトなペンシルスカートといったボリューム感を自在に操る。フィナーレは、大きな蝶ネクタイにテーラード JK のメンズスタイルから始まり、パールのネックレスをアクセントにクラウンを冠ったスタイル。ユーモア溢れるエンターテイナーここに健在である。

PPQ

「トランスミッション (伝達)」 をテーマにコレクションを発表した 『ピー・ピー・キュー』 は、迫力のあるアイラインが、フューチャリズムな雰囲気とうまく調和した。シルバーやゴールドといったメタリックカラーを存分に発揮し、パフスリーブでトップスにボリュームを持たせながら、ウエスト部分はしっかりと絞りラインを強調するボディコンシャスが美しい。エンパイアドレスやミニスカート、ホットパンツも目立った印象。スキニーパンツが得意な彼等はメンズ、レディース共に健在だったが、新たに少しゆったりとしたパンツルックも登場した。レタード Tシャツを合わせ、ラフさをプラスした演出もさすがである。そして、注目すべき小物使いは、アクセサリーとして首かぶら下げたチェーンバッグや金属のハンドルのおおぶりバッグ、カラフルなファーをあしらったグローブにユーモア溢れるサングラス等、服だけではなく、小物もトータルで楽しめる。彼等がコレクションに込めたメッセージ通り未来は輝いている。

John Rocha

透き通るような美声のソプラノ歌手が登場し、 『ジョン・ロシャ』 のコレクションは幕を開けた。マスキュリンをテーマに強くたくましく、しかし、贅沢で上品なシルエットはしなやかに身体を包み込んだ。今シーズン多くのブランドで見られた特徴的なバルーン袖は、五分からボリュームを含み新鮮な動きを見せた。オーバーサイズのコートやケープの上からウエストをレザーのベルトでマークするテクニックも取り入れやすい。上級者にはアシンメトリーなベルト使いのコートにも挑戦して頂きたい。クジャクの羽使いやラッフルの飾り、シルバーの箔プリント、幾何学パタ?ン、レイヤード等、親しみやすいディテールに現代のヴィンテージを提案している。シックな装いにデリケートな立体感をもたらした美しい輝きを解き放っていた。

 

Ashley Isham

おとぎ話しの世界の様な冬の森のセットに、ヴァイオリンの美しい旋律が響き渡る。登場したモデルに注目していると、雪が舞い降り始めた。まず、そのランドスケープで観客を魅了したのは、シンガポール出身の 『アシュリー・イシャム』 である。上品な雰囲気が漂うドレスは、大きなリボンをあしらったシフォン素材のパンプキンドレスや、ハイウエストでベルトマークされたグリーンのフリンジドレス、アンティークゴールドのツイストされたワンショルダードレス、ホワイトのマーメイドロングドレスまで、素材もデザインも多岐に渡る。そして、立体的な装飾が魅力的なヘアバンド、クリスタルをちりばめたベルトといった小物の演出も女性らしさに磨きをかける。落ち着いたカラーが多い秋冬に、ピンクや、グリーン、ミッドナイトブルーといった鮮やかなカラーを投じた世界観。甘美で洗練された華やかさは大活躍すること間違いなしである。

 

 

Gareth Pugh

照明が落ち、前衛的な音楽が流れ、スポットライト先に観客の誰もが釘付けになる。期待に胸が膨らみ、思わず会場から歓声が飛び交う程。 「ニュージェネレーションデザイナー」 にも選ばれ、最も注目され、斬新でミステリアスなコレクションを発表する 異端児 『ガレス・ピュー』 は、リアルクローズとはかけ離れたアートと賞賛したくなる程、独創的な世界観を見せつける。白く塗られたフェイスに2トーンカラーの直線的なヘアの個性的なモデルがランウェイを歩く。大きな襟の美しいコートと光沢のあるレギンス、しっかりベルトマークされたウエストとトレンドを押さえている。しかしそんなに大人しく収まる彼ではないことは百も承知であろう。フルマスクや、黒と透明ボーダー柄のビニル素材のポンチョ、ファーをレイヤードしたドレスに、幾何学的なシルエットをモチーフにしたボディコンシャスなミニドレス等、衝撃的で奇抜な未来的スタイルで圧倒する。これぞ、ロンドン。ショーの素晴らしさを改めて実感させてくれる彼のアイデンティティーは今後も目が離せない。

JENS LAUGESEN

マルタン・マルジェラやヴィクター&ロルフといった大物デザイナーが過去には選ばれている 2006-2007の ANDAM AWARD を見事受賞した 『イエンス・ロウガセン』 は、ハイエンドなラグシュアリーコレクションを発表した。デンマークの画家 「ウィルヘルム・ハマーショイ」 の絵画にネオ・クラシカルの要素をインスパイアされたという今シーズンは、モノトーンカラーでまとめ、シルエットで完璧な美しさを実現した。仕立ての良いダブルのタキシードジャケットや、ウールカシミアのケープコート、コットンサテンのトレンチコートにハイウエストのジョッパーズパンツ等今すぐにでも身につけたくなる様なアイテムが揃う。フリルやシャーリング、ギャザーといった細かな技や、光沢のある素材は、中世的なムードの中にセクシーさを混ぜ合わせ、落ち着いた雰囲気を創り出した。

Hamish Morrow

黒一色で展開された 「実用性」 に焦点をあてた 『ハミッシュ・モロー』 のコレクションは、こまかなディテールや素材にこだわりを見せた。一見シンプルなフォルムだが、ネックやショルダーを優しくしなやかなラインで包み込み、複雑ではありながら緩やかに流れるようなツイストで美しさを強調した。カシミアやフラノ、デリケートなレースや、シルクジョーゼット、水はじきの良いサテン、ナイロンといった素材使いも実用的でありながら、デザインに輝きをプラスする。女性らしいシルエットの中に優雅さをちりばめ、スポーティな要素も融合させた。活動休止期間のあった彼のクリエイティブ性だからこそ服作りへの真の愛情が生まれ、価値を高め、実際に着用を想定した美の追求ができるのであろう。

2007-2008秋冬コレクションを通して

十人十色という言葉があるように、服はもちろん、音楽、モデル、会場のセットまで各デザイナーの個性は様々で、確固たるオリジナリティーは威厳を保っていた。また、 「やせ過ぎモデル問題」 が騒がれているファッション業界だが、当時やせ過ぎといわれていたスーパーモデル 『リリー・コール』 も元気にランウェイを歩いていた。皮肉の意も込めて、 「サイズ 0」 とプリントされたTシャツを着てデザイナーがランウェイに登場する場面も見られた。ファッションが世界に与える影響は、デザイナーが深く刻むメッセージと、それを共に創り上げるスタッフのパワー、周囲を取り巻くメディアによって、大衆に届けられる。この1週間どこの会場でも、全員が真剣な眼差しでそれを見つめ、大きな拍手喝采が聞こえた。ファッションの偉大さを改めて実感させるロンドンコレクションは大成功に幕を降ろした。

 

Written by Mai Yomura