rockGroup

UK グラフィティ界で、一際異色を放つアブストラクト・マスター「SheOne」と「O.Two」。彼らが立ち上げたアートユニット「rockGroup」は、アート、グラフィック、ファッション、映像等、様々な分野で人気を集めている。"レター (文字)" にこだわり、ストイックにフォントを進化させ続けて来た彼らのスタイルには、どのような過程とコンセプトが込められているのか。1度ハマったら必ず病みつきになる、この2人のアブストラクトな世界をたっぷり堪能して頂きたい。

インタビュー

- これまでの2人の経歴を教えて?

 

S1 : 始めたのは80年代、最初はロンドンで NY の地下鉄に描かれている様なレターを描いていた。キャンバスに書き出したのは1990年頃から、ここ10年くらいは集中してキャンバスを売っている。またファッション・ブランドとコラボでデザインしたり、その他の分野でも多くのアートワークを提供している。自分のスタイルは常に進化していて、これは自分自身のパーソナリティによるものだと思っている。ある時スケッチブックの下書きを持たずに、スプレー缶が入った袋だけを持ってストリートに描きに行った事があった。即興で何が起こるかを試してみたくなったんだ。その日が自分のスタイルのすべてを変えた。メインストリーム・カルチャーを意識したり、人々に印象を与えよう等を一切考えずに、純粋に自分の為に描くと言う事を理解したんだ。

O2 : まだ自分が16歳の時に「Futura」のピースを見て、衝撃を受けた。"Ar u tuf (お前はタフか?)" の文字は、当時16歳だった自分には最高にクールに見えた。その後ロンドンに移り住んで、「SheOne」に出会い、1999年に「rockGroup」を結成したんだ。自分達の作品は "テキスト" ベース、キャラクターはやらない、ただのタイポグラフィー。すべて何かの名前から来ている。抽象的な名前や表現的な名前など様々。基本的にはこれは、「Helvetica (ヘルベチカ)」との全面戦争と言う事だ!

 

- 他にどんなアーティストから影響を受けた?

 

S1 : グラフィティでは、USA の「Dondi」「Crash」「Futura」、パリの「Bando」、それ以外ではあまり居ないかな。彼らからは未だに影響を受けてるよ、俺の作品を見てくれればわかると思う。

O.Two とは数年前に出会ったんだけど、お互い大酒飲みの他に音楽や女性の好みが似ていたんだ。それで一緒に "rockGroup" を結成した。普通はグラフィティ・ライター同士が集まってクルーを作るものだけど、自分達は少し違う。いかに一緒に人生を楽しめるかが大事だと思っている。

 

O2 : 我々に取って "コラボ・プロジェクト" とは、自分達自身のライフスタイルであり、アウトプットだ。他のグラフィティ・クルーとは少し違う。俺達はピースのテーマや下書きに時間を費やしたりはしない、ただ描くだけなんだ。

 

- ロンドン以外での活動は?

 

S1 : 幸運にも自分のペイントのおかげで世界中回らせてもらっている。香港、台湾、東京、大阪、シドニー、唯一行っていない国はアフリカだ。

クルーのコラボでは、集中的にヨーロッパ、アメリカを回っている。

 

- 日本では何処で描いて来た?

 

S1 : 最初に行った時には東京の「Womb (ウーム)」と言うクラブ、最後に行ったときは代官山のギャラリーで描いて来た。

 

- UK と日本のグラフィティには違いがある?

 

S1 : ある。東洋と西洋のデザインの哲学には大きな違いがある。西洋はもっと細部の細かさや空間、仕上がりのクオリティにこだわる。それに比べて東洋はコアになるアイデアを重視し、美的にそれを表現している様に見える。以前に "アイデア" の方が "完成度" よりも重要なのでは?と考えた事がある。

実際コアなアイデアを持って描く方が、より美しい作品になる事がわかった。そしてこれが "rockGroup" の本質なんだ。

 

- 2人とも長い間ロンドン・グラフィティ界で活躍しているけど、シーンの変化について教えて?

 

S1 : これまでシーンを意識した事が無いのでコメントしづらいが、アーティストとして自分自身の活動のモチベーションは自分とのジャーニーだ。したがって自分のやっている事だけに興味を持つ事が大事だ。もちろん他のアーティストに刺激を受ける事は良い事だ。でも影響を受けすぎたり左右されすぎてはダメだ。俺の作品は自分の性格を強く反映している。もしこの反映が外から来るものなら、それは嘘になる。

 

O2 : 俺は出来るだけあらゆる "シーン" から離れようとして来た。

- どんな音楽が好き?

 

S1+O2 : "Desert Rock" "Queens of the Stone Age" "The Melvins" "Sonic Youth" "Mondo Generation"

 

映像:O.Two Painting (rockGroup)

- 今後の rockGroup の予定は?

 

S1+O2 : "忘却" "スチームボート" "沈降のヨットかも?" "壊れた黒いランボルギーニ" "燃えるホットロッドとウイスキーの空き瓶" 先の事なんて考えたくもないね、それを意識して不自然な道を辿る事になるから。次に何が起きるかなんて考えなくていい、今を生きる。これも "rockgroup" の原則の1つだ。

 

- 現在進行しているプロジェクトを教えて?

 

O2 : プロジェクトのコンセプトはこれまでに無い「ホットロッド (スピードレース用の車)」を作る事だ。エアブラシを使わない、フラットな色だけでのデザイン。車体の姿勢が全てであり、英国ホットロッドのノスタルジアを浸透させて行く事が狙いだ。特に燃料タンクは凄い事になるはずだ!その上「ジャック・ダニエル」からのスポンサーを受ける事が課題だ。

S1 : 当時アメリカでホットロッドの "ドラッグ・レーシング" は素晴らしいサブカルチャーだった。しかしビートルズによってすべて破壊されてしまった。ポップミュージックが流行ったせいで、人々は車のカスタマイズを止め、ギターを買いバンドを組み始めた。車から音楽へ趣味趣向が変わってしまったんだ。だから我々がもう1度レーシングカーをカスタマイズして、カルチャーの復活を試みるんだ。

 

*この日インタビューを終えた我々は会場を後にした。翌日別件で再会した SheOne と O.Two から、インタビュー後に起こった余談について語ってもらった。

 

S1 : あのインタビューの後、俺達は1:30amまで飲み明かし、帰り途中でいくつかタグを描いて回っていたんだ。すると急に青いライトが点滅して、若い警官が来て、「何をしているんだ?」と言って来た。

このまま連行されるか、罰金チケット (80ポンド) を受け取るか聞かれたので、とりあえずチケットを受け取ったけど、久しぶりに面白かったな。でもペンは取られなかったし、荷物検査も無かったな。

 

O2 : 警察は俺達の詳細を聞いて来た。名前や住所、それから職業を聞かれた時に俺と SheOne は顔を見合わせて「グラフィティアーティストだ」って言ったんだ。そしたら驚いた顔して「それがお前等の職業か?」と聞き返して来た。傑作だ!

 

SheOne : blog

O.Two : www.myspace.com/o_two

Addict : www.addict.co.uk

 

Written by Selph

Translated by Irie