Herakut

現在ヨーロッパを中心に世界的に活躍する、ドイツ出身の2人組アーティスト「Herakut」。そのスタイルは "リアリスティック、サイケデリック、アブストラクト" 等と言われ、エッジの効いたその世界観で見る者の心を一瞬で掴みとる力強さがある。そんな彼らが東ロンドンの有名クラブ「Cargo」でライブ・ペイントをする情報を聞き、インタビューを試みた。

 

写真:右 Hera / 左 Akut

 

Herakut : http://www.herakut.de

インタビュー

- これまでの2人の経歴を教えて?

 

H : 私達は「Hera」と「Akut」の2人組で「Herakut」というチーム名で活動してる。「Akut」は14歳の時にグラフィティを初めて、仲間と一緒にドイツで有名なフォト・リアリズム・クルー「Maclaim」を立ち上げたの。長い間「Maclaim」での活動をしているうちに、彼は自分の作品スタイルをもっと進化させたいと思っていた、そこで私と出会ったの。私 (Hera) と Akut が最初に会ったのは3年前スペインのあるアートイベントで、偶然にも一緒にペイントする事になった。そこで自分たちのスタイルのコントラストが合う事に気づいて、一緒に活動を始めたの。クルー名の由来はそのまんま「Hera」と「Akut」で "Herakut"。

- Hera も地元ドイツで元々活動していたんだよね?

 

H : うん。私は最初ドイツの「24」と言うクルーに居て、フォト・リアリズムなグラフィティを描いてたの。初めて Akut が描いてる作品を見た時は、全然好きになれなかったけど、今は瞑想してるみたいで好き。(笑) 私もグラフィティを始めたのは14の時で、ペンでタギングとかボミングしてた。スプレー缶を使いだしたのは、大学に入ってから。

 

- Akut はどの様にスタイルを創っていったの?

 

A : 最初は基本的でクラシックなグラフィティをやってた。僕は田舎の出身で、当時グラフィティのルールみたいなものが良くわかっていなかった。だからレターを始める前に、もうすでに "Old-school B-boy" みたいなキャラクターものを描いていて、それが普通だと思っていたんだ。

もっと自分の B-boy キャラクターをリアルに見せたくて質感等にこだわっていたんだけど、しばらくしてもっとリアリズムから外れた、型にハマらないキャラクターに興味を持ち出した。そして今ではもっとプロポーションなどにこだわって、これに自分のバックグラウンドである "リアリズム" を加える事で新しい "アブストラクト" なキャラクターを創っている。2人で描くときは Hera のキャラクターの上に僕のキャラクターを描いている。彼女のキャラクターのプロモーションが凄く好きだし、一緒に作業する上で素晴らしいアーティストだからね。

 

- それぞれインスピレーションは何処から受ける?

 

H : ここ数年2人とも「Atmospere (MC's Slug & Murs).」というヒップホップのグループから影響を受けてたわ。いつも彼らのリリックを聞いて、そこからいくつか気に入ったラインを引用して絵にしてた。

例えば "God loves ugly (神は醜い物が好き)" というラップから影響されて、作品を醜く描いたりね。それとサンフランシスコの詩人「Jeffrey McDaniel」からも影響を受けたわ。私達2人が強く感じているのは、自分たちの作品が日常読んだり聞いたりしている事の "リリックのイラストレーション" だという事ね。

 

- 現在もストリートでの活動を続けている?

 

A : 今はあんまり。でも時期が来たらやるつもりだよ。今地元でイリーガルに描くと、警察が「お前が描いたのか!」て電話して来るんだよ。だから地元以外で描く方がいいかな。

 

H : そうね。最近はちょっとやりにくいわね。以前ドイツで捕まった事があって、警察のリストには女性の "グラフィティ常犯者" は殆ど居ないみたいなの。

だから女性のグラフィティの通報があると、多分私の所に連絡が来ると思う。

 

- その他の国での活動は?

 

A : ちょうど明日ウクライナの「オデッサ」という所に描きに行くよ。それに今年中には2人で「サラジェボ」に5日間行く予定。11月には僕は「Write4Gold」と言うコンペのジャッジとして日本に行くんだけど、今から楽しみだよ。

 

H : これまで2人でスペイン、フランス、ギリシャ等で描いて来た。Akut は他にも色々な所で描いて来たけど、私は仕事でドイツからあまり出れなかったの。でも彼は行く先々で「Herakut」の "フィンガープリント" を残して来てくれたわ。

 

- Maclaim の本を出版しているよね。これに関して教えて?

 

A : 実際 Maclaim の本は、僕の大学時代のプロジェクトだったんだ。だから基本的なコンセプトと構成は僕が考えたものだよ。本の出版には多くのスポンサーが付いたおかげで、様々な "How to" セクションを加える事になった。でもそれがこの本が良く売れた原因だろうね。

- 定番な質問だけど、ストリート・アートとグラフィティの違いはなんだと思う?

 

H : ストリート・アートはもっとテクニック重視で、グラフィティには特定のルールがあると思うの。私達はそれをリスペクトしているから、自分たちの作品を "グラフィティ" と呼ばないわ。ストリート・アートは色々と実験的な事が可能だし、画筆も使えるおかげで Akut のスプレー缶で描く作品と良い感じにコントラストを付ける事が出来る。

 

A : グラフィティとはストリートでその瞬間に作り出されるものだけど、ストリート・アートはまず最初に家で創ってみる事が出来るよね。ステッカー、ポスター、ステンシル等をまず自分の PC で創ってから、外に張りに行ける。

- UK とドイツのグラフィティに違いを感じる?

 

A : 凄く感じる。UK はもっとユーモアと深いコンセプトの物が多いね。ステンシルも多い。これらはやはり「Banksy」の影響かな?

 

- ストリートでのアート・シーンに限界は来ていると思う?

 

A : 将来的にはインターネット上での "ボミング (描く行為)" が主流になるんじゃないかな?ストリートでのアートはもう存在しなくなり、ヴァーチャルの中でグラフィティが行われれば、それこそ未来のグラフィティにストリート・アートだよ。

 

写真:Ma'claim: Finest Photorealistic Graffiti

H : もっと世間がグラフィティやストリート・アートの真価を認めるべきだと思う。例えばファイン・アートのギャラリー等がもっとストリートを理解して、正式なアートのスタイルとして認識してほしいと思ってる。そうすればストリートに描く側にもプレッシャーが掛かって、質も上がると思うけどな。

 

- 今後の予定は?

 

H : 現在2人とも大学で「コミュニケーション・デザイン&グラフィック・デザイン」のコースをおえようとしてるところ。同時に様々な場所でイベントやエキシビションに呼ばれ、こうして描きに来ている。もし自分たちの作品の人気がなくなったら、もっと良いアイデアを考えようとは思っているけどね!

- これからストリートを目指す若者に何か一言。

 

H : 最近eメールを受けたプラジル女性にも言った事だけど、まず "仲間" を見つけるべき。最初は自分一人で始めようと思わないで、一緒に成長できる誰かを見つける事。お互いの作品のジャッジもできるしね。

 

A : それぞれの国には、その土地のオリジナルなスタイルがあるはずなんだ。それぞれ違う文化を持っているからね。だけどこれまで色々な国でアート・コンペのジャッジをして来たけど、何処でも NY スタイルの "Wildstyle" ピースみたいな作品ばかりだ。だから僕のメッセージは "自分らしく、オリジナルである事に努力する" かな。

Maclaim : http://www.maclaim.de

Write4gold : http://www.write4gold.info/html

Evolvingstyle : http://www.evolvingstyles.com/

 

Written by Selph

Translated by Irie