A Portrait of John Lennon

今回はロンドン近代美術館の老舗、White Cube : Mason's Yard (ホワイト・キューブ : メイソンズ・ヤード) で2007年8月28日まで展示されている映像インスタレーション・エキシビジョンを特集します。『Working Class Hero : A Portrait of John Lennon』は、ドイツのベルリンを拠点に活動する映像作家 Candice Breitz (キャンディス・ブレイツ) によって制作されました。同展示は既に、2006年10月から2007年1月までニューキャッスルにあるバルティック美術館での展示を成功させています。

 

Photo by Pierfrancesco Celada


キャンディス・ブレイツ

1972年南アフリカ共和国のヨハネスブルグに生まれる。ファイン・アートからアートの歴史などを学び、現在はベルリンを拠点に世界各国で展示を行っています。ハリウッドスターや音楽の様なポップカルチャーを代表するアイコンをモチーフにし、ビデオや写真を使ったインスタレーションを中心に活動を展開。そしてファンを被写体にしながら、それらのコミュニケーションの循環を考察することがテーマとなっています。現在までに「Legend : A Portrait of Bob Marley (ボブ・マーリー)」、「King : A Portrait of Michael Jackson (マイケル・ジャクソン)」、「Queen : A Portrait of Madonna (マドンナ)」などの作品を制作し、今回の作品もそれらのシリーズとして出展しています。


写真 : Stills from Becoming Cameron, 2003
From the series Becoming, 2003

 

映像インスタレーション

人々の遠吠えの様な歌声と共にホワイトキューブの地階に降り、真っ暗なブラックホール的空間に吸い込まれる様に入ると、25のプラズマスクリーンに映し出された映像ポートレイトがそこにあります。世界各国からオーディションで選ばれた25人のジョン・レノンのファンが、アルバム『Plastic Ono Band (ジョンの魂)』を全曲熱唱していている映像が映し出されており、それぞれのモニターの映像は音で同期していてアカペラで大合唱しているかの様に聞こえ、オーディエンスを圧倒します。

 

作品を目の前にして...

キャンディスが生み出すインスタレーションは、 エンターテインメント性を強く含むアイコンを主題にすることが多く、ポップな印象の作品がよく見受けられます。しかし、今回の展示方法は限りなくシンプルなのでその分、テーマがとても強烈に伝わってきます。ファンがそれぞれの価値観で楽曲やジョンへの想いを訴えかけていると同時に、個々の感情を映像というアート・フォームを用いてシンクロさせることによって、その感情の坩堝を一つのコミュニティとして再表現しています。メディアの中に生きる私たちが、特定のアイコンの周りにどのように集まり、どのようにコミュニティを形成していくのか、その答えがこの作品に隠されているのではないでしょうか。

 

写真 : バルティック美術館での展示風景

Photo by Colin Davison

Kozue Etsuzen

この展示のプロジェクトに出演した「越膳こずえさん」がインタビューに応じてくれました。世界中にいるジョン・レノンのファンから、どのような経緯でこの企画に参加することになったのでしょう。そして撮影時のエピソードや参加者としての心情もお聞きしました。


越膳こずえ (えつぜん こずえ)
1969年札幌生まれ。1993年に渡英以来、フリーランスの翻訳家としてビートルズ関連の書籍を翻訳すると同時に、通訳も務める。メールマガジン「BEA - MAIL (ビア・メール)」ではコラムニストとしての顔も持つ。

 

Website : http://www.pawcommunications.co.uk/

関連ウェブサイト

White Cube : http://www.whitecube.com/

Candice Breitz : http://www.candicebreitz.net/

 

写真 : Legend (A Portrait of Bob Marley), 2005
Shot at Gee Jam Studios, Port Antonio, Jamaica, March 2005 / 30-Channel Installation : 30 Hard Drives

Photo by Alexander Fahl

 

Shot / Edited / Written by Tomohiro Ichikawa