Word to Mother インタビュー

UK 若手アーティスト「Word To Mother」。ストリートアーティスト D*Face の運営するギャラリー「Stolen Space」でアシスタントとして働く一方、同ギャラリー所属のアーティストとしても活動している。先月行われた彼のソロ・エキシビションは、世間から高い評価を得て作品もほぼ完売するという快挙を成し遂げた。アブストラクトに表現されたキャラクターと、独特なレイヤー技法を組み重ねた彼のスタイルはとても温かく、作品からは長い年月を経た様な濃厚な重みすら感じる事が出来る。現在イギリスで最も注目のアーティストの1人と言えるだろう。

 

 

W : 僕の名前は「Word to Mother」、毎日絵を描いている。イースト・ロンドンに住んでいて、自分のアートに取り組む一方、D*Face と緊密に連携してワークしているよ。若い頃グラフィティを描いたのが始まりで、絵を描くことである種の達成感を覚えたんだ。そしてアートの学校でイラストレーションを勉強し、これまでの経緯すべてが現在の僕をスタイルを形成している。僕は作品に社会的観念と歪めたキャラクター、タイポグラフィ、質感 、それら全てを結合させて、既に存在するものから何か美しい別のものを生み出そうとしてるんだ。

- 長年、影響や刺激を受けてきたものは ?

 

W : 個人個人のアーティスト名を挙げたら、きりがないね。僕はアーティストのスケッチだけでなく、製図工の線画作品を見るのも好きなんだ。でも自分の身の回りの環境の中だけで言えば、色、質感、錆び、腐食などの要素から影響を受けている。昔使われていたような、"擦切れたもの" が好きなんだ。タイポグラフィについては、古い広告グラフィックなどから刺激を受けるし、その他、目に映る自然や人々からも多くの影響を受けている。僕は常々身の回りの生活を記録することを目指していて、手掛けた作品はそれぞれ、僕の周りで起こる出来事や現状のスナップ写真みたいなものなんだ。

- Stolen Space Gallery での初ソロ・エキシビジョンについて ?

 

W : 『Til The Hot Runs Cold (熱きものが冷めるまで)』というエキシビジョンで、この独特な名前には理由がある。僕は作品を創るとき、全作品が一つのタイトルに関連されるよう製作するんだ。余りに具体的だったり即物的だったりするタイトルは付けたくない。人生において、楽しいことは終わりを迎えるけれど、僕はいつまでもここにいるということを示したかった。みんなが僕のアートに興味がなくなったとしても、キャンバスは最後までそこに残るってね。

 

 

- あのきめ細やかで豊かなレイヤーはどのように作るの ?

 

W : 僕がキャンバスに使う素材は、既に腐食している物が多い。錆びた鉄板や古い板などね。だから数週間、時には何ヶ月も部屋でキャンバスの前に座って良く観察する。あの部分は修正しない方がいいとか、この部分は塗り直そうなどと考えるんだ。でも時々、スケッチブックに殴り描いた絵をそのまま引っ張って来たり、作品全体がより映えるよう背景だけに手を加えたりもする。小さいキャンバスの集合作品を創る時は、たいてい新しい木の板を使うんだけど、それぞれの板を使い古した様に見せる為にスプレーや紅茶等をこぼし汚したりして年期の入った物に創り替えている。

- もうストリートでは描かないの ?

 

W : もう描いていないね。ストリートでの "タグ" は一種のゲームみたいなものだからね。外に出て描くのも必要とは思うけど、ストリートで名前を残し続けるとか、有名にならなくてはというプレッシャーは感じないね。それに、僕のスタイルをそのままスピード勝負のストリートで描くのは無理だよ。

 

- 現在のUKグラフィティやストリートアート・シーンについてどう思う ?

 

W : グラフィティ・シーンは、今凄くいいよね。イースト・ロンドンの ATG を含めて RT や DDS など、そこら中に素晴らしい作品を創っている奴らがたくさんいる。

ストリートアート・シーンについては、お金の為ではなく純粋な動機で活動するアーティスト達は素晴らしいし、彼らはこれを続けるべきだと思う。ストリートではいつも、特別視されるアートと受け流されるアートの違いが見えるね。

 

- 雑誌「State Of Play」や「Fixed」でのイラストの仕事について?

 

W : 実はイラストレーションは、実は委託作品ではなく友人たちの為のものだったんだ。あのイラストレーションでお金のやり取りは一切していないんだよね。あれはプロジェクトと、それに関与する人たちへの手伝いだった。今年はアート活動に集中する為に委託作品を請け負い過ぎないようにするつもり。

- 今後予定されているプロジェクトについて?

 

W : 国際的なグループ展がいくつかあるよ。サンフランシスコでの「Upper Playground」エキシビション。そして来年 US で二つのエキシビジョンが予定されている。それと7/17に Stolen Space にて Shepard Fairey や Andrew McAttee 等と共にグループ展を開催する。近頃は何をやってもそれが自分のアートに反映されるから、もっと大きな仕事をやりたいし、作品に3Dの要素を取り入れていきたい。僕の理論は、絶対に止まらない、何でもチャレンジすること。僕は描くことだけを頑張ってきたから、この先はより実験的にやっていきたいんだ。

 

myspace : Word to Mother

Written by Selph

Translated by Kanehiro Tanaka