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廃墟
それは、建物・城郭・市街などの荒れ果てた跡。
昼間でも真っ暗で、ジメジメとした廃墟。
どんよりと空気の重たい廃墟。
誰も立ち入ろうとしない廃墟。
謎に満ちた廃墟。
人目にも留まらぬ廃墟。
人から忘れられた廃墟たちが、荒れ果てた姿で今も生き続ける意味。豹変してしまったからこそ、生き続ける意味。それはグラフィティ・アーティストたちが、彼らに新しい命を吹き込み、新しい役目を与えたということ。 |
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Quaker Street E1
毎週末が祭のように騒がしく、活気溢れたイースト・ロンドンのブリック・レーン。WEAKBRIDGE (ウィーク・ブリッジ) のサインを目印に一本外れると、一瞬にして殺風景な通りが現れる。まさしくここだ ! 周囲に溶け込むことの出来ない廃墟と呼ばれるこの強大な怪物が、その姿を少しも隠すことなく、ガンと聳え立っていた。既に錆びついてピクリとも動かない鉄製の巨大なアコーディオンカーテン式の入り口。好奇心とは裏腹に、恐怖心をつのらせながら恐る 恐る足を踏み入れる...その現実を目にした瞬間、大興奮が巻き起こる !
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中で見たもの
アート、アート、アート。どこもかしこもアートだらけ。そのスケールは普段街中で見かけるどのワークよりも数倍でかい。レベルも半端なく高いぞ。こりゃ驚いた。あっBLAM ! あっSwoon ! 結構な著名人が足を踏み入れているではないか。しかし何だか陰気臭い、湿気多し、じとじとベタベタ気持ちが悪い。そう長くはいられない...と思いつつも、さっきの恐怖心は既に吹っ飛んでいた。ワクワクする気持ちが抑えられず、ぐんぐんと奥へ進む。さっきまたいだ焚き火の跡はかなり新しい。ビールの空き缶、ケバブの食いかけ、あらゆるゴミから異臭が漂っている。ゴミ捨て場と化しているこのスペースには、要らなくなたソファ、どうやって持ってきたのか不明なバスタブ、使い古したスーツケース、片方だけのサンダル、ボロボロになったくまのプーのぬいぐるみ、さらに無数のコンドームや注射針までもがあちこちに散乱していたのだ。奥に進めば進むほど、アートは増えていく。オッと細い通路を発見 ! その先は真っ暗で、何も見えない。 |
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建物の中
廃墟の中はシーンと静まりかえっている。ポタンポタンと雨漏りの音だけが鳴り響き、人の気配は感じない。外部から射し込む少しの光をたよりに、荒れた足場に注意を払いながらゆっくりと歩く。あっすげー !! 入り口付近で見たものよりもダイナミックに描かれたアートの数々。興奮がおさまらない。どこから写真を撮ろうか、どっちに向かって進もうか、目移りするばかり。そして往き急ぐように辺りを見回す。どうやらここは、3階建ての大きなビルディングだったようだ。しかしほとんどのフロアは崩れ落ち、吹き抜けの状態。寒そうに鉄骨の骨組みだけが残っている。誰にも手入れをされていない草木は伸び放題で、吹き抜けから入る強い光を受けて、自由に生きている。昼間だからこそ一人で進入できるものの、夜になれば幽霊屋敷と全く変わらず、おどろおどろしい空間となるに違いない。
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奥で見たもの
と、その時、レンガの壁がぶち壊されているのを発見。すぐさま方向転換。一体その先には何があるのか... ここまできたら一つ残らずこの目で確認してやろう ! 足場の邪魔をする大きなゴミやガラクタを避けながら一歩一歩確実にその標的へと向かう。なんとそこで目にしたぶち壊されたその壁は、人の手で作られたかのように縁取られ、奥にある吹き抜けの空間をより一層ひきたてる巨大なキャンパスのようだった。勢いよく、力強く描かれたアート、かつ繊細で丁寧なワーク。これらはゆっくりと時間をかけて描かれている。スプレーの性質を全て把握し、高度なスキルで完成されていた。 |
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ストリートのアート
誰も管轄していないフリーな空間。イリーガルの中のフリーダム。
グラフィティアーティストが廃墟に新しい命を吹き込み、命を与えられた廃墟が彼らにキャンパスを提供する。ここはアーティストたちが創り上げた神聖なるアートのオアシスなのだ。
Written by Toshimi Takaishi |
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