ウェブ制作会社

いまロンドンでとびきり元気の良いウェブ製作会社がある。
「Hi-ReS! (ハイ-レス!)」 という一風変わった名前からもその勢いの良さは伝わってくる。多くのウェブサイトが広告重視のためにデザイン簡潔化になる傾向の中、ウェブデザインの潜在能力であるインタラクティビティを最大限に生かし、またコンピューターのもつ技術的な可能性にのみ支配されることなく、一つの明確な考えをつら抜き通せるデザイナーはどれだけいるだろうか?常に新しい創造を追い求め、たった一つのコンセプトから想像力の無限大の先で作品を生み出すハイレス。今回そのハイレスから2005年東京タイポディレクターズクラブでグランプリも飾ったリッチメディア・ディレクター " アンドレアス・ミュラー" さんにお話を聞いた。

 

Website : http://www.hi-res.net/

 

 

インタビュー

UK Adapta (以下 U) : 簡単な自己紹介をお願いします。
Andreas (以下 A) : アンドレアス・ミュラーです。ハイレスのリッチメディア・ディレクターをやっています。ハイレスに入ったのが創立直後の2000年で、主にウェブ、インタラクティブの創作をしています。

U : 昨年の東京タイポグラファーズグランプリ受賞おめでとうございます。この作品の製作過程においてアイディアを絞り込む事にとても集中したそうですね。その理由というのは?
A : コンピューターで作業をしていると、その技術のもつ可能性によって元のアイデアからどんどん離れていきがちになるので、とにかく元のアイデア、コンセプトから焦点をずらさないよう努力しました。インタラクティブのグランプリ受賞は初めてだったので、本当に嬉しかったです。

Website : http://www.tdctokyo.org/awards/

 

U : 日本についてどんな印象を受けました?
A : クール ! インプットがたくさんあって、いろいろなものが目に飛び込んできました。全体的に全てのものがコンパクトにおさまっていて忙しい感じもしました。あと、日本の企業はデザインなどに対して保守的だと思い込んでいましたが、いざ現場でデザイナーと日本のビジネスマンのやりとりを目にして、彼等のものを見る時の姿勢に驚きました。

U : ハイレスではコミュニケーションに焦点をしぼり、アイデアやコンセプトを極めて大事にしているようですね?
A : もちろん、人が見て、触れ、使うものとしてコミュニケーションは大前提です。コミュニケーションを通じてなんというか人々に物語りのようなものを伝えたいという気持ちがあります。人々の興味をそそりたいし、新しい発見をしてほしいんです。コンセプトはとても大事です。一つの大きなコンセプトに沿って、妥協することなく作品を完成させるよう常に心掛けています。

U : これまでの仕事の中で特に気に入っているものはどれですか?
A : 三菱、NTT データの仕事です。なんというか本当に良いものができたという実感がありました。

U : 自動車会社Lexus の仕事についてお聞きしたいのですが、もともとのアイデアはなんだったのですか?
A : レクサスが映画 「マイノリティレポート」 の製作に協力していたこともあり、ゲームまたはユーザーが体感し楽しめるものをつくることが大前提でした。この場合クライエントである 「TeamOne Advertising」 が用意してきたストーリーボードにそって作業を進めていきました。彼等は前にやった映画関係のサイトを気にいっていたので、それと同じくらい良質な仕事をすることを求めてきました。実際の製作期間は4-5週間で、話し合いなども含めたら2ヶ月くらいでしょうか。3Dグラフィックは時間を要したし挑戦でしたね。

U : 技術的な面で壁にぶつかったりという事も多いのでは?
A : もちろんありますが、いつもどうにかして作品を完成させます。できる・できないは始めから考えないんです。それに一般的に "自分にできるものを作ろう" という考えはちょっと間違ってると思います。僕らの場合は常にチャレンジなんです。

U : 広告中心の場合、ハイレス自慢のインタラクティビティはなるべく排除されがちになると思うのですが、そのような場合はどう解決しますか?
A : 完全に広告目的の仕事と比較的自由にまかせていただける仕事とは割り切っています。ファランやトップショップのサイトをみていただけると分かると思います。

 

U : "Style may not last,but ideas will"「スタイルは長続きしないかもしれないがアイデアはいつまでも残る」 という考えは、ハイレスがコンセプトを重視する意味を強く表現していると思います。これは大都市に住む人々にとって自分らしさを保つための教訓でもあると思うのですが、ロンドンという流行の変化しやすい都市に事務所を構える理由とこの街から受ける影響とはなんでしょうか?

A : ロンドンでなければいけないという事は本当はないんです。例えスイスにいてもフィンランドにいても作品はつくれます。ただ現実的にロンドンに多くのクライアントがいるためです。クライアントに会うためにはどこかしらに拠点を置かなくてはいけないですからね。どんなに小さな町にいても良いのですが、ここにいると様々な人々に会えることが本当に楽しいです。見るものがたくさんあることも、とても刺激になり良いことですね。

U : 好きな日本人デザイナーは?
A : TOSHIO IWAI とJOHN MAEDA。彼等の作品を見たときは目からウロコでした。プログラミングについて習い始めた時だったですし、とくにジョン前田の作品はすみからすみまですべてチェックしましたよ。

U : これからの予定は?
A : 現在 「THE NANIKA」 という新しい会社を立ち上げています。 NANIKA というのは日本語の 「何か」 からとりました。ウェブサイトがもうすぐ出来上がるので見てください。

U : 最後に、あなたにとってデザイナーである喜びとはなんでしょうか?
A : 僕にとって物を作ることは麻薬と一緒。作品をつくりあげる事がなによりの喜びで、ほんとデザイン中毒だよ!

Website : http://www.nanikawa.com/

 

Interviewed by Akikaz Nakayasu