ロンドンに訪れたことのある人なら、誰でも知っている ''赤丸と青横棒'' のチューブ・マーク。これは CI (コーポレート・アイデンティティ)
の元祖と言われているほど、偉大なロゴ・デザインです。そして駅構内に置かれている ''チューブ・マップ'' には、様々なアイデアと工夫が施されています。これらのデザインは当時、ロンドン交通局の電子回路の技術者として働いていた
Henry C. Beck (ヘンリー・ベック) 氏により、まさに電子回路を基にデザインされました。垂直、水平、斜め45℃の3種類の線による配置、路線ごとによる色分け、そして駅名を等間隔で表示することにより読み易く、憶えやすい効果を生み出しています。現在このデザインは、世界各国の路線マップに取り入れられています。
フォント・デザインにまつわる話
駅名を示すチューブ・マークやマップ、「Way Out (出口)」や「No Smoking (禁煙)」など、駅構内の看板全てのフォント
(書体) が統一されているのはお気づきでしょうか ? 実はこの文字、『Johnston
(ジョンストン)』、または『Johnston Sans (ジョンストン・サンズ)』と呼ばれる地下鉄制定書体に基づいており、1913年に
Edward Johnston (エドワード・ジョンストン) 氏によって作られたものです。駅名の表示などを覚えやすく認識しやすいこと、そして環境に良く馴染むものという依頼を見事に具現化したこのフォントは、「Sans-serif
(サン・セリフ)」という太めの文字です。サン・セリフとは、明朝体に比べて ''ひげ'' や ''はね'' がなく、更に特徴的なのは「o」は完全な正円、「i」と「j」の点はダイヤの形をしています。
世界初の地下鉄が開通した1863年をきっかけに、鉄道会社が次々と開業し、路線が徐々に増えて来たのですが、会社が違うため乗り換えなどに支障がでてきました。そこで1900年、Charles
Yerkes (チャールズ・ヤーキス) 氏というアメリカの資本家により全ての鉄道路線が統合され、1902年に Undergrand
Electric Railways of London Company Ltd (アンダーグランド・エレクトロニック・レールウェイ・オブ・ロンドン・カンパニー)
という一つの組織に合併されました。そしてコマーシャル・マネージャーに就任した Frank Pick (フランク・ピック) 氏により、複雑なってしまった連絡システムを
''整理する'' 改革が行われました。そして1913年、フランク・ピック氏は、エドワード・ジョンストン氏の Johnston を採用したのです。
チューブ・マップの誕生
1933年、London Passenger Transport Board (ロンドン・パッセンジャー・トランスポート・ボード)、つまりロンドン交通局が設立され、全ての旅客交通機関会社がこの傘下に入りました。そして遂に、現在のロンドン地下鉄マップの原型となる、ハリー・ベック氏デザインによるマップが誕生します。ハリー・ベック氏は当時、ロンドン交通局の電子回路の技術者の一人に過ぎませんでしたが、その後1947年、現在の
London callege of communication (ロンドン・カレッジ・オブ・コミュニケーション) にて、タイポグラフィとカラーデザインの講師になったそうです。